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9月, 2021の投稿を表示しています

အာဘွား の意味は何か

質問 の要旨 အာဘွား の意味は何か 回答  အာဘွား(アーブヮー)[àbwá]は、「キス(kiss)」のことです。 キスそのものというよりも、キスの擬態語(擬音語かもしれません、とにかくオノマトペの一種)のようなものです。SNSなどで、恋人に対して အာဘွား というメッセージを送るほか、အဘွားပေးမယ်「チューしてあげる」のような使い方もできます。キスそのもののことは、အနမ်း(アナン)[ənáɴ]といいます。 ←前の質問 次の質問→(未投稿)

お知らせ(2021年9月7日) 使用する発音記号について

IPAを使用します  当ブログでは、ミャンマー語の発音を表記するためにIPA(国際音声記号)を使用します。また補助としてカタカナによる表記も使用します。古い投稿の中には、独自の発音記号を用いたものもありますが、順次IPAの併記を始めます。  ひとくちにIPAといっても、ミャンマー語の各発音の分類方法に若干の違いがあります。当ブログおよびミャンマー語たんのアカウントでは、基本的に、 こちらの辞書 に掲載されている発音記号を元にしています(底本はMyanmar-English Dictionary (1993, Myanmar Language Commission)、1993年、教育省ビルマ語委員会)。ただし、 補助記号 [  ̃ ]の代わりに [ɴ]を用いています。

ビルマ文字の練習と英語のノート

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英語のノート(英語罫線)を使う  ビルマ文字をを練習する際に、英語罫線のノート(横に線が4本引かれたノート)を使うことをおすすめします。なぜなら、ビルマ文字は、字母の周りに記号が配置される都合上、方眼が印刷されたノートだと書きにくい場合があるからです。  それに英語罫線ノートを使うと、すっきりとした見た目の文字になるだけでなく、書き間違い・見間違いを減らすことができます。例えば ဆုံ と書いたとします。上にある小さな丸の大きさによっては、 ဆို のように見えてしまうことがあります。英語罫線の上から1番目と2番目の先の間いっぱいの丸を書くと ဆို になり、小さな丸(または点)を書くことで、誰が見ても ဆုံ と読める字になります。  字母の標準的なバランスは以下のようになります。 字母の標準的なバランス

မျက်နှာကြက် [myeʔ n̥aʤeʔ]「天井」という語について

質問 の要旨  မျက်နှာကြက် [myeʔ n̥aʤeʔ]「天井」の語源はなにか、なぜ、မျက်နှ「顔」が含まれているのか。 回答  မျက်နှာကြက် [myeʔ n̥aʤeʔ] ミェッナー ヂェッ「天井」ですね。おっしゃるとおり、မျက်နှာ ミェッナー には「顔」という意味があります。မျက်နှာ ミェッナー は、他にも「平ら」、「外見、外側、表面」という意味があります。မျက်နှာကြက် ミェッナー ヂェッは、「顔」ではなく、「平ら」の意味で使われているのだと思われます。ကြက် チェッ/ヂェッは、「(糸などを)ピンと張る」という意味の動詞です。そうすると、မျက်နှာကြက် [myeʔ n̥aʤeʔ] ミェッナー ヂェッは、「(天井にある)平らに張られたもの」ということになります。屋根の裏側は、枠組みや梁などあってデコボコしています。それらを隠して「平ら」にするように「張られたもの」が「天井」であるのだと思います。 ←前の質問 次の質問→

အဓိပ္ပာယ်という語について

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質問 の要旨  အဓိပ္ပာယ် という語は、どのように発音すればよいか。 回答  အဓိပ္ပာယ် は、[ədeiʔ bè](アデイッベー)と発音します。「意味」 という意味です。ミャンマー語では通常、小さい「つ」のあとは音が濁らない(有声化)しないのですが、これは例外的に「べー」という音になります。つまり「アデイッペー」とはなりません。  つづりが複雑ですので、分解して説明します。 アデイッベーを分解した図 အဓိပ်ဟယ် にも見えますが、これは ဟ[ ha̰ ]ではなく ပ[ pa̰ ]+ာ (本来ならပါと書く)です。အဓိပ္ပါယ်という表記も存在します。これならまだ分かりやすいですね。  ပ などの下に別の字が加わると、例外的にါ ではなく、ာ が使われることがあります。 例:စီးပွားရေး (スィー ブワー イェー)「経済」/စီးပွါးရေး でも可。      ဓာတ်ပုံ (ダッ ポウン)「写真」/ဓါတ်ပုံ でも可。 ←前の質問   次の質問→  

第0回 日本語とミャンマー語(文法)

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目標「ミャンマー語文法の特徴を知る」 語順は、日本語とだいたい同じ  ミャンマー語は日本語と同じように「主語+目的語+述語(SOV)」の形をとります。また、日本語の「は」「が」「へ」「で」のようなはたらきを持つ助詞が存在します。 ※厳密にいえば「主語」ではなく、「主格語」というべきでしょうか。ミャンマー語では、主語の省略がたびたび見られます。 「私は<主語> ご飯を<目的語> 食べます<述語>」 これをそのままミャンマー語にすると、次のようになります。 ကျွန်တော်(က) ထမင်း(ကို) စားတယ်။ 私(は) ご飯(を) 食べます。 ()内の助詞は省略しても良いです。 文章が長くなっても難しく考える必要はありません。 ကျွန်တော်(က) ကျည်ဆံရထားနဲ့ တိုကျိုက‌နေ အိုဆာကာကို သွားမယ်။ 私(は) 新幹線で 東京から 大阪へ 行きます。 (ကျည်ဆံရထား 直訳すると「弾丸列車」。2021年現在、ミャンマーに高規格の高速鉄道はありません) その他の特徴 時制は基本的に2つしかなく、動詞は活用しません。 「すでに起きたこと(過去・現在)」「これから起きること(未来)」 動詞の後ろに -တယ်(過去・現在)/  -မယ်(未来)を付けることで時制を表します。 (例)ပြော(話す)、 လျှောက်(歩く) ※この部分は絶対に変化しない。 ပြောတယ် 話した(過去)、話す(現在)  ပြောမယ် 話す(未来) လျှောက်တယ် 歩いた(過去)、歩く(現在) လျှောက်မယ် 歩く(未来) 一部の語に、性差があります。 「私」という意味の語「ကျွန်တော်:男性が使う」「ကျွန်မ:女性が使う」 語順がかなり自由 たとえば、「アウンチョー君が、台所で包丁でフルーツを切っています」というとき、以下の7通りの言い方があります。 アウンチョー君が、台所で 包丁で フルーツを 切っています。 アウンチョー君が、フルーツを 台所で 包丁で 切っています。 台所で フルーツを アウンチョー君が、包丁で 切っています。 台所で アウンチョー君が、包丁で フルーツを 切っています。 台所で アウンチョー君が、フルーツを 包丁で 切っています。 フルーツを アウンチョー

憲法という言葉

「憲法」のことをミャンマー語で、ဖွဲ့စည်းပုံအခြေခံဥပဒ[ pʰwḛ zí bòʊɴ əʧʰèi gàɴ ṵ badèi ]といいます。カタカナで表記すると「プウェ ズィー ボウン アチェーガン ウパディー」です。初めて見た方は、発音さえも困難に感じるかもしれません。しかし、ひとつひとつの語に分解していくと、発音したりや記憶したりすることが容易になります。 ဖွဲ့ 組織、団体(အဖွဲ့とも) စည်း 束ねる、結合する →ဖွဲ့စည်း 組織する、結成する ပုံ 形、型 အခြေခံ 基本、基礎 ဥပဒေ 法律 ဖွဲ့စည်းပုံအခြေခံဥပဒေは、英語の「constitution(憲法)」の訳語であると考えられます。この語の翻訳者は、「con(一緒にまとまって)+statuo(立てる)+tio(こと)」というconstitutionという語の持つ概念をミャンマー語にしたのでしょう。 ドイツでは「憲法」ではなく「Grundgesetz(基本法)」という語が使われています。「အခြေခံဥပဒေ(基本法)」と同じですね。ちなみに日本において、「憲法」という訳語が定着する以前は、「政体」「永世国法」「国憲」「根本律法」…といった言葉が使われていました。