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9年生歴史教科書を読む

ミャンマーの公立学校で使用されていた歴史教科書(旧課程)の内容を見てみましょう。

ビルマ ドクリツ キネン トクシュー(昭和18年、1943年)

『ビルマ ドクリツ キネン トクシュー(ビルマ独立記念特集)』  『ビルマ ドクリツ キネン トクシュー』は、「ビルマ新聞社」から昭和18年(1943年)に出版された写真集です。収録されている写真は、「東京写真協会」および「読売新聞」からの好意で提供されたものです。  標題のとおり、1943年8月1日のビルマ「独立」を記念し発刊されたもので、戦地における日本軍の活躍や日本・ミャンマー国内の様子を写した多くの写真が収録されています。また、それぞれの写真には日英緬の3言語による説明が加えられています。  閲覧にあたっては、パソコンなどの画面の大きい端末を使用されることをおすすめします。オプションメニュー︙から全画面表示を選択すると、全画面表示でご覧いただけます。 注意 スキャンではなく、写真撮影したものをつなげて表示しているため、ページの合わせ目や、アスペクト比が実物と異なるおそれがあります。 上記作業は当ブログの管理人である ミャンマー語たん (@myanmar_go_tan)によるものです。また底本もミャンマー語たんが所蔵しています。 学術研究等のために、「@myanmar_go_tan」の印がないデータを必要とされる方は、管理人までご連絡ください。 著作権について 本写真集は、「ビルマ新聞社」によって発行されました。このため、本写真集の著作権も同社に属すると考えられます。したがって、本写真集は「法人その他の団体が著作の名義を有する著作物」(著作権第53条1項)に該当し、公表後70年以上が経過したため、その著作権が消滅したと考えられます。 収録されている写真は「東京写真協会」および「読売新聞」から提供を受けたものであり、それらの写真について個別に著作権が認められる(同法第10条第1項第八号を参照)場合がありますが、上記と同様に消滅したと考えられます。 万が一、権利の侵害があった場合は、すみやかに当ブログ上での公開を停止いたします。権利者のみなさまにおかれては、 ミャンマー語たん (@myanmar_go_tan)までご連絡いただきますようお願い申し上げます。 スライド4ページ目について  東條英機と共にバモウ博士が写る写真は、1943年3月22日に総理大臣官邸にて撮影されたものだと考えられます。 勲章の内容と叙勲の理由  各人が身につけているのは、以下の勲章です。

ミャンマーに住む未確認生物 ”ရေဆင်” 「水象」について

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”ရေဆင်” 「水象」とは  ミャンマーの南東部には ”ရေဆင်” 「水象」なる未確認生物がいるそうです。

သာလီစွ(ターリーズヮー) ヤカイン州の愛郷歌 

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    この曲のタイトルになっているターリーズヮー သာလီစွとは、ミャンマーの西部に位置するヤカイン(ラカインとも)州で使われる挨拶のことばです。သာလီとは、パーリ語で「高貴である」という意味で、သာလီစွまたは、သာလီစွာပါ は「高貴であれ!」という意味になります。  3名の歌手の担当箇所と歌詞・日本語訳を下にまとめます。 ■歌唱  Nyi Min Khine (NMK) ညီမင်းခိုင် ニー ミン カイン  Min Thway (MT) မင်းသွေး ミン トゥェー  Thar Ngal (TN) သားငယ် ター ンゲェー ■作曲  Nyi Min Khine (TN) အနောက်ရိုးမနဲ့တောတောင်ပင်လယ် 西の山脈に木々の生い茂る山と海 ဟိုအနောက်ဘက်က အဖရခိုင်ပြည် あの西の方には 父なるラカインの国が လှပတဲ့ ကမ္ဘာကျော်ကမ်းခြေတွေရှိတယ် 美しくて世界に名だたる数々の砂浜がある (NMK) အံ့ဩလောက်တဲ့ သမိုင်းရာဇဝင်တွေ 驚くべき歴史の数々 ကိုယ့်ထီးကိုယ့်နန်းကိုးကွယ်ရာ ဒီဗုဒ္ဓမြေ 自らの王 自らの王宮を尊敬している この仏教国は ကမ္ဘာမှာ သက်သေတွေရှိတယ် 世界には多くの目撃者がいる (MT) မျိုးရိုးဗီဇ 脈々と受け継がれる系譜 ဖြူစင်စိတ်ထားရိုးမြေကျ 清く純粋な心をもった祖先の土地 လာလှမ်းခဲ့ပါလား ညီအစ်ကို မောင်နှမများ 訪れたことがあるだろうか 兄弟姉妹たちよ (TN) သာလီစွ သာလီစွ သာလီစွ ターリーズヮー ターリーズヮー ターリーズヮー မင်္ဂလာပါ နှုတ်ခွန်းဆက်သ ဖိတ်ခေါ်ပါတယ် こんにちは と語りかけて招いています (MT) သာလီစွ သာလီစွ သာလီစွ ターリーズヮー ターリーズヮー ターリーズヮー မင်္ဂလာပါ တို့သွေးချင်းတို့ ကျန်းမာပါစေ こんにちは 私達の血族たちよ 達者でありますように (All) သာလီစွလေ.... သာလီစွပါလေ..ဟေး... ターリーズヮーよ…

ビルマ文字の練習と英語のノート

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英語のノート(英語罫線)を使う  ビルマ文字をを練習する際に、英語罫線のノート(横に線が4本引かれたノート)を使うことをおすすめします。なぜなら、ビルマ文字は、字母の周りに記号が配置される都合上、方眼が印刷されたノートだと書きにくい場合があるからです。  それに英語罫線ノートを使うと、すっきりとした見た目の文字になるだけでなく、書き間違い・見間違いを減らすことができます。例えば ဆုံ と書いたとします。上にある小さな丸の大きさによっては、 ဆို のように見えてしまうことがあります。英語罫線の上から1番目と2番目の先の間いっぱいの丸を書くと ဆို になり、小さな丸(または点)を書くことで、誰が見ても ဆုံ と読める字になります。  字母の標準的なバランスは以下のようになります。 字母の標準的なバランス

憲法という言葉

「憲法」のことをミャンマー語で、ဖွဲ့စည်းပုံအခြေခံဥပဒ[ pʰwḛ zí bòʊɴ əʧʰèi gàɴ ṵ badèi ]といいます。カタカナで表記すると「プウェ ズィー ボウン アチェーガン ウパディー」です。初めて見た方は、発音さえも困難に感じるかもしれません。しかし、ひとつひとつの語に分解していくと、発音したりや記憶したりすることが容易になります。 ဖွဲ့ 組織、団体(အဖွဲ့とも) စည်း 束ねる、結合する →ဖွဲ့စည်း 組織する、結成する ပုံ 形、型 အခြေခံ 基本、基礎 ဥပဒေ 法律 ဖွဲ့စည်းပုံအခြေခံဥပဒေは、英語の「constitution(憲法)」の訳語であると考えられます。この語の翻訳者は、「con(一緒にまとまって)+statuo(立てる)+tio(こと)」というconstitutionという語の持つ概念をミャンマー語にしたのでしょう。 ドイツでは「憲法」ではなく「Grundgesetz(基本法)」という語が使われています。「အခြေခံဥပဒေ(基本法)」と同じですね。ちなみに日本において、「憲法」という訳語が定着する以前は、「政体」「永世国法」「国憲」「根本律法」…といった言葉が使われていました。

ကမ္ဘာမကြေဘူးの歌詞と日本語訳

ကမ္ဘာမကြေဘူး 世界は粉砕されない ငါတို့သွေးနဲ့ရေးခဲ့ကြတဲ့ 俺たちの血で書かれた မော်ကွန်းတွေ 多くの記文 တော်လှန်ရေး 革命と ဒီမိုကရေစီတိုက်ပွဲ 民主化闘争 အတွင်းမှာကျဆုံးသော の内で死んだ ဪ... သူရဲကောင်းတို့ရေ おお、英雄たちよ အာဇာနည်တွေနေတဲ့ 殉難者たちのいる တိုင်းပြည် 国 ရဲရဲတောက် 果敢な တို့ပြည်သူတွေ 我々市民たち ကိုယ်တော်မှိုင်း コードーマイン ရာဇဝင်တွေလဲ 多くの歴史書も ရိုင်းခဲ့ရပြီ အဖိုးရေ… 荒れ果ててしまった おじいさんよ သခင်အောင်ဆန်း タキン・アウンサン နိုင်ငံတော်လဲ 国家も သွေးစွန်းခဲ့ပြီ အဖရေ… 血にまみれてしまった 父さんよ ဪ... လုပ်ရက်ကြပေ... おお、なんということをしてしまったのか ပေတရာပေါ်မှာ 大通りには ပြည်သူအလောင်းတွေ 市民のたくさんの遺体が အတုန်းအရုန်း めちゃくちゃに လဲပြိုကာနေ... 倒れて散らばり 辺りを覆っている ကိုယ်တော်မှိုင်း コードーマイン ရာဇဝင်တွေလဲ 多くの歴史書も ရိုင်းခဲ့ရပြီ အဖိုးရေ… 荒れ果ててしまった おじいさんよ သခင်အောင်ဆန်း タキン・アウンサン နိုင်ငံတော်လဲ 国家も သွေးစွန်းခဲ့ပြီ အဖရေ… 血にまみれてしまった 父さんよ ဪ... လုပ်ရက်ကြပေ... おお、なんということをしてしまったのか ပေတရာပေါ်မှာ 大通りには ပြည်သူအလောင်းတွေ 市民のたくさんの遺体が အတုန်းအရုန်း めちゃくちゃに လဲပြိုကာနေ... 倒れて散らばり 辺りを覆っている ကိုယ်တော်မှိုင်း コードーマイン ရာဇဝင်တွေလဲ 多くの歴史書も ရိုင်းခဲ့ရပြီ အဖိုးရေ… 荒れ果ててしまった おじいさんよ သခင်အောင်ဆန်း タキン・アウンサン နိုင်ငံတော်လဲ 国家も သွေးစွန်းခဲ့ပြ

サンスクリットとパーリ語の違い

 パーリ語は東南アジアで広く信仰されている上座仏教において経典の中で用いられています。要するにミャンマーで唱えられているお経はパーリ語です。ミャンマーではビルマ文字でパーリ語が表記されるため一見してミャンマー語とパーリ語の区別がつきません。  より正確に言うならば,パーリ語はモン文字(ビルマ文字の元となった文字)で表記されています。上座仏教はモン人(族)からビルマ人(族)へ伝えられたという歴史に注目していただくと分かりやすいと思います。  またミャンマー(ビルマ)語とモン語とで読み方が異なります。 【三帰依文】…仏教の三宝(仏・法・僧)に対する帰依を表明するもの 「Buddhaṃ saraṇaṃ gacchāmi」 日本における一般的なよみ (ブッダン・サラナン・ガッチャーミ) または (ブッダム・サラナム・ガッチャーミ) 「ဗုဒ္ဒံ သရဏံ ဂစ္ဆမိ」 ミャンマー(ビルマ)語よみ (ボウッダン・タラナン・ゲッサーミ) モン語よみ (ブッダン・サラナン・ガッチャーミ)←モン語読みの方が実際の発音により似ている。  パーリ語を理解できるのは僧侶を中心とする知識人でした。その中でも技術や思想に関する専門用語として、ミャンマー語にはない概念を表すためにパーリ語からの借用語が増えたのだと考えられます。場合によっては自分の知識をひけらかすためにパーリ語がつかわれることもあったのかもしれません。  ミャンマーにおいてはパーリ語による文学も盛んでした。日本の奈良・平安時代以降に漢籍が貴族の間で学ばれるようになったことと似ていますね。ビルマ文字の字母のうち灰色に塗られた文字はパーリ語を表記するための文字であり、使用頻度が低いです。 က ခ ဂ ဃ င ka̰ kʰa̰ ga̰ ga̰ ŋa̰ စ ဆ ဇ ဈ ည sa̰ sʰa̰ za̰ za̰ ɲa̰ ဋ ဌ ဍ ဎ ဏ ta̰ tʰa̰ da̰ da̰ na̰ တ ထ ဒ ဓ န ta̰ tʰa̰ da̰ da̰ na̰ ပ ဖ ဗ ဘ မ pa̰ pʰa̰ ba̰ ba̰(pʰa̰) ma̰ ယ ရ လ ဝ သ ya̰ ya̰(ra̰) la̰ wa̰ θa̰ ဟ ဠ အ ha̰ la̰ ʔa パーリ語とサンスクリット(語)の違い  乱暴な説明になりますが、「パーリ語はサンスクリットがくだけて,(やや)単純になったも

ミャンマーの伝統的な時間を表す単位

「ちょっと待ってね」というときに "ခဏလေးနော်(カナァ レー ノ)" とか"ခဏစောင့်(カナァ サウン)" といいます。 この ခဏ (カナァ)はサンスクリットの kṣaṇa,パーリ語の khaṇaに由来する語です。これは中国に伝わり剎那 (chànà)となりました。つまりこの ခဏ (カナァ)は「刹那(せつな)」のことを指します。 ခဏ (カナァ)は「瞬きを十回するのに要する時間」と定義されています。また他も古代インドで生まれた時間の単位が存在します。以下にそれらの対応表を示します。 瞬きを十回するのに要する時間 =1ခဏ =1ခဏ 10ခဏ =1 လယ(ラァ.ヤァ.) =10ခဏ 10လယ =1 ခရာ(カラァ.) =100ခဏ 10ခရာ =1 ပြန်(ピャン↓) =1,000ခဏ 6ပြန် =1 ဗီဇနာ(ビー↓ザナー↓) =6,000 ခဏ 15ဗီဇနာ =1 ပါဒ်(パー↓ダ.) =90,000 ခဏ 4ပါဒ် =1 နာရီ(ナー↓イー↓) =360,000 ခဏ 60နာရီ =1 ရက်(イェッ) =21,600 ,000 ခဏ 30ရက် =1 လ(ラァ.) 12လ =1 နှစ်(ㇷニィッ)